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3DCADデータ変換時のトラブルについて その2

2019.07.17 | CATEGORY: 機構設計

こんにちは。
機構設計課のDです。

前回に引き続き、3DCADデータ変換時のトラブルについて書いていこうと思います。
(前回記事は>> 3DCADデータ変換時のトラブルについて その1

変換トラブルの原因は主にCADメーカごとのカーネルの違い、
具体的には下記3項目が不具合の要因となります。
・モデリング精度(トレランス)の違い
・位相(幾何形状表現)の違い
・数学的表現の違い

前回はモデリング精度(トレランス)の違いについて触れました。
今回は位相(幾何形状表現)の違いについて書いていこうと思います。

3DCADでの位相要素とは、点、線、面(幾何要素)を張り合わせる時の隣接情報のことです。
幾何形状同士に、「接続関係・隣接関係・面認識」を定義したものとも言えます。
3DCAD(ソリッドモデラー)では、境界を張り合わせることによって、内と外を分けることで幾何形状を表現しています。
このようなデータ構造はB-rep構造(Boundary Representation)(境界表現)と呼ばれています。

B-rep構造で閉じた形状(球、円錐、円柱、など)を作成すると、CADごと見た目は同じに見えますが、内部の曲面と曲線のデータは異なっています。

例えば、円柱形状の部品を設計すると、CADごと下図のような位相状態になります。

CreoとCATIAカーネルでは、フェース(面に対応する位相要素)が自身要素では閉じられないため、側面は最低2枚のフェースから構築されます。
I-DEASでは側面はフェースが1枚で、縫い合わせが1カ所。
NX、Solidworksでは側面は縫い合わせがない1枚のフェースで構築されます。

閉じた要素を最低2枚のフェースから構築されなければいけない、Creo、CATIAに
NX、Solidworksで構築される縫い合わせがない1枚の面をそのままに変換することは出来ません。
差異は各CADの変換カーネルが吸収することになります。

データ変換時に複雑な曲面は壊れないが、簡単な円柱や球面が壊れてしまう時は、
位相変換が上手くいっていないことが多いです。
また、位相変換の問題点から作成が推奨されない形状もあります。

こちらに関しては次回以降に詳しく触れていこうかと思います。